2020.11.01

11月のたより

 自然がおりなす木々のグラデーションの美しさに、心ふるわせる季節となりました。日中は、汗ばむ陽気の日もありますが、朝夕は空気が冷たくなり、気温差が大きくなりました。この気温差が紅葉の美しさに大きく関係していることは知られているところです。今年は秋の深まりが幾分ゆっくりのように感じていますが、どんな自然の贈り物に出会えるのか楽しみです。
 幼稚園でも、子どもたちから秋のお届け物が多くなりました。まつぼっくりにどんぐり、色づいた葉っぱ、時には顔が隠れるぐらいの大きな落ち葉を手に持って登園してくる子どもたちです。持ってきたどんぐりを見比べながら、同じどんぐりでも大きいのや小さいの、のっぽのどんぐりに、ちびっこどんぐりといろいろな形に気づき、どんぐりで人形遊びに発展することもあります。“どんぐり”に出会ったら、「いいもの みっけ!」と思わず叫びたくなるような、そんなウキウキした気持ちになりますよね。

 秋が深まるように、子どもたちの友だちとの交わりも深くなっていきます。運動会でクラスの友だちと一つのことを成し遂げた子どもたちは、一層なかま意識が高まり、これまで以上に友だちを意識しながら遊びを進めていきます。年齢によって、その姿は異なりますが、自分の思いや考えを伝えながら友だち同士が交わり合い、遊びを発展させていきます。そうなると、遊びが継続するようになり、「あした、つづきしようね」「あしたも○○してあそぼう」と明日を楽しみに生活することが、また子どもたちの心を育んでくれます。そして、友だちとの交わりが深くなり、思いを伝え合う場面が多くなれば、これまでとは違ったトラブルや葛藤が生じることがあります。ただ、それもまた大切な経験です。幼児期の内にいろいろなトラブルに出会い、自分の気持ちや友だちの気持ちに向き合いながら折り合いをつけていくことは、とても貴重なことだと感じています。心が柔軟なこの年齢だからこそ、素直に謝ることができたり、許したりすることができると思うのです。そういった経験は、大きくなってトラブルに遭遇した時、問題解決をする糧となるのではないでしょうか。私たちは、そんな子どもの『心の育ち』に寄り添っていきたいと思っています。

園長 松尾 栄理香