2025.09.01

9がつのたより

日本の夏は猛暑が当たり前となり、今年も熱中症警戒アラートが発令される日々でした。この異常気象は自然界にも大きく影響を及ぼし、今年は蝉の大合唱を聴くことが少なかったように感じます。聞くところによると、『雨がなかなか降らず地面が固くなり、蝉の幼虫が地上に出て来られない。』『やっとの思いで地上に出てきても、この暑さで羽化できない。』ということでした。また、今年は干からびているミミズを多く見ました。いつもは地中にいるミミズも暑さに耐えかねて地上に出てきたそうですが、地中よりも更に熱い温度に干からびてしまったそうです。雨がようやく降ったと思ったら線状降水帯が発生して、交通機関がストップしたり、災害をひきおこしたりと生活にも大きな爪痕を残しました。私たちの住んでいる地球はどうなっていくのでしょうか…。

夏休みの間にスズムシが羽化し、「リーン」「リーン」と声を聴かせてくれています。スズムシの音色は幾分涼しさを運んでくれますね。暑さの中にも、季節が巡っていることを感じています。

今年も『8月6日(広島平和記念日)』を迎えました。今年は、終戦から80年という節目の年となり、メディアでも多く取り上げられていました。『8月6日のこと』について子どもたちとの分かち合いの時間を持ちました。担任が用意した原爆ドームの写真を見ると、「てれびで みたよ」と話してくれる子どももいました。慰霊碑の前でお祈りしている新聞記事を見て、「かなしそう」という子どももいました。「どうしたら平和になるか」という話し合いの中で、「じぶんがいけないことをしたなっておもって、ごめんね」と言う。「けんかをしてもなかなおりして、にこにこですごす」と話してくれる子どもたちがたくさんいました。また、「しんけんにかんがえてみよう」と言う担任の言葉を聞いて一生懸命考えた後に、「わからん」と、一言返ってきました。その一言は、難しい問いに真剣に向き合ってくれた結果の言葉でした。すぐに解決できることではありませんが、これからも80年前のことを忘れず、「平和を願うこと」「祈ること」「みんなで考え、分かち合うこと」が大切なことだと思っています。

『二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである』これは8月の聖書の言葉です。「どういういみなんだろうね?」と話しているときに、「みんながあつまったときに、やさしいきもちをわたしたら、へいわになるんだよ」と話してくれた子どもがいたそうです。平和を意図した会話ではなかったのですが、子どもたちは私たちが思っている以上に、日々いろいろなことを思いながら過ごしていることを感じました。広島平和資料館にある『地球平和監視時計』をご存知でしょうか?一番上には現在の時刻が示されていて、その下には広島への原爆投下からの日数が表されています。

これからも、この日数が刻まれ続けますように…。

園長 松尾栄理香