残暑という表現はいつまでのことを言うのだろうと思いながら過ごした9月でした。『やっと秋の空気になったかな⁈』と感じていたら、再び真夏のような蒸し暑い日が続き、『秋』と表現するにはもう少し時間がかかるような気がしています。異常気象ともいえるこの気候は、今年の初め、震災による大きな被害をもたらした能登半島の地域に更に追い打ちをかけるように、豪雨が大きな災害をもたらしました。ようやく前を向いて歩き出した矢先のできごとに、「心が折れました」とおっしゃっていた方の言葉を聞き、胸が詰まる思いでした。被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申しあげます。
園庭で遊んでいた子どもが、「えんちょうせんせい!」と声を弾ませて来てくれました。見ると両手にそれぞれ“鳥の羽”と“ビワの葉”を持っていました。宝物でも見つけたようなその表情は生き生きとしていました。「ママにプレゼントするんよ!」と嬉しそうに話してくれるその姿に“嬉しい気持ち”を分けてもらいました。また、「えんちょうせんせい!」と手押し車を押しながら一人の男の子が来てくれました。手押し車を覗いてみると、枯葉がいっぱい入っていました。私とのやり取りを見て、数名の子どもが集まってきて、枯葉を触りながら、「カサカサおとがするね」「なんかにおいがする!」と感じたことを話してくれました。枯葉一つで子どもたちの活動は豊かになり、その後、その枯葉はおままごとのごちそうになったり、枯葉吹雪になったりしたようです。ある子どもが、飼育ケースに入ったバッタを見せてくれました。「○○くんがみつけたの?」と尋ねると、「○○せんせいがとってくれた」と答えてくれました。普段は話しかけると少し恥ずかしそうな、困ったような表情を見せる子どもと、バッタのおかげで言葉を交わすことができてとても嬉しかったです。小さな生き物の力って大きいですね。これから秋が深まっていくと、子どもたちが出会う自然からの贈り物に、心を弾ませることが増えていくことでしょう。澄み渡った空を見あげれば、うろこ雲やいわし雲が空一面を覆ったり、釣り針のように見えるすじ雲やはね雲。また、薄いベールで覆ったように見えるかすみ雲など、毎日表情を変える青いキャンバス。子どもたちと一緒に、移り行く季節を感じながら共に心を動かして、“実りの秋”を過ごしたいと思います。 つぶやき 〇お月様のお話しをしているときに『おつきさまが ○○ちゃんのところについてくるんだよ』 〇中秋の名月の翌日『にじいろのおつきさまみたよ』 どんな色だったのか尋ねてみると、『オレンジいろとかピンクいろがみえた!』 子どもたちの感性に心が豊かになります。子どもって尊いですね。 園長 松尾 栄理香
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