街のあちらこちらから金木犀の香りが漂い、秋の深まりを感じています。幼稚園にも昨年植樹した金木犀があり、早速花を咲かせてくれました。しかし、まだ若いからでしょか?なんとなく香りが淡い気がしています。そんなことを思っていたら、あまり香りがしないのは「ぞうむしがヒューンってかおりをすったんよ」とある男児が話してくれたと担任から聴き、なんだか心がほっこりしました。ある日、いつもよりゆっくり登園した子どもがいました。受け入れの際、お母さんから『幼稚園にたどり着くまでに、あちらこちらの金木犀に出会って遅くなった。』という素敵なエピソードを聴かせてもらいました。また、朝、お父さんをお見送りした際に白いお月様を観たことを話してくれた子どもがいました。そのことから、朝に観る月はどうして白いのだろうと疑問に感じ、少し考える時間があった後、「わかった!くものしろいのがうつったんじゃない?」「じゃあ、よるのおつきさまがきいろいのはおほしさまのいろがうつったんかね」と友だちとの会話が膨らんでいました。日々、子どもたちの会話や気づきから心を豊かにさせてもらうことがたくさんあります。そして、傍らにいることができる喜びを感じる時でもあります。どうぞ、保護者の皆様も子どもたちの声に耳を傾け、心に寄り添い、会話を楽しんでいただけましたら幸いです。
ひらひらと葉っぱが舞い落ちる11月。毎年、中旬にもなると、聖モニカ幼稚園にある“もみじ”が少しずつ色づき、紅葉の見事なグラデーションが織りなす自然の美しさに心動かされます。朝日を浴びた“もみじ”はきらきら光りとても幻想的です。そして、その神秘的な景色を十分に味わった後には、もみじの赤いじゅうたんができ、子どもたちは、その上を歩いて足音や感触を喜んだり、もみじのシャワーを浴びて歓声をあげたり、バリエーションに富んだおままごとを楽しんだり…。そんなふうに“もみじ”は、子どもたちの遊びを豊かにしてくれます。
秋はその深まりと共に、子どもたちの人間関係も深まっていきます。友だちと一緒に経験した運動会は、子どもたちの心をまた一つ大きくしてくれたことと思います。これまで以上に友だちを意識するようになり、友だちとのつながりを心地よく感じるようになり、友だちと遊ぶこと、活動することが楽しくなります。最近、「またあしたもあそぼうね!」「あしたもこいよ!」「あしたも○○してあそぼうね」と声を掛け合う姿をよく目にするようになりました。明日に希望を持って翌日の登園を楽しみにできる子どもたちを心から素敵だと思っています。友だちとの交わりが深くなれば、これまでとは違ったトラブルも増えてくることでしょう。ただ、そのトラブルを通していろいろな気持ちを感じてほしいと思うと共に、相手の気持ちに寄り添い、自分の気持ちも大切にしながら折り合いをつけていってほしいと願っています。その傍らで、子どもたち一人ひとりが自分の思いや考えをどのように表現し、友だちの思いや考えをどう受け止めているのか、そのかかわり方や気持ちの動きも大切にしていきたいと思っています。
園長 松尾 栄理香