2022.05.02

5月のたより

 新緑がまぶしく青空に映える季節となりました。青々と茂っていく様子は、子どもたちが青空の下で心を開放してのびのびと活動する姿と重なります。虫たちも、この時期を待っていたかのように、活発に動き出し、子どもたちにとっても、虫探し・虫捕りに大忙しの毎日となります。この季節は、小さな命が子どもたちの心に潤いや癒しを与えてくれる場面がなんと多い事でしょう。
戸外遊びでは、年齢問わず虫探しに夢中になる子どもたちの姿がたくさん見られます。草の中をかき分けたりプランターを動かしたりしながら、だんごむしに出会ったときの表情は、宝物でも見つけたかのように活き活きと喜びに満ちあふれています。「めっちゃおおきいだんごむし みつけた!」「このだんごむしは しろいじゃん」「もう○○ひきも みつけたよ」「このむしは なんていうむしかね?」「なにたべるかな?」などと言いながら、小さな命に心を寄せています。悲しかったり寂しかったりして涙が出る子どもたちが、これまで何度“だんごむしさん”に慰められたことでしょう。あの、コロコロとする生態が子どもたちの心を癒してくれるのでしょう。
 お休みの日にお父さんと一緒に捕まえたクロアゲハチョウをつれてきてくれた子どもがいました。見事なその様は子どもたちの心をひきつけ、人気者になりました。すると、一人の子どもが、飼育ケースに入っているクロアゲハチョウのデッサンを始めました。デッサンだけではなく、その“ちょうちょ”のためにお花を描いてあげて、物語ができました。そして物語に思いを馳せ、夢中になってお話ししてくれました。新年度ということもあり、どこか気持ちが落ち着かなくて、室内ではなかなか遊びこむことができずにいた子どもは、デッサンをきっかけに新しい環境での自分の居場所を見つけるきっかけになったようです。
 4月末には子どもたちが野菜や花の苗や種を植えました。植えた後にちょうどよく雨がふってくれたこともありぐんぐんと生長しています。戸外にはたくさんの植物があり、戸外遊びの際には、ジョーロでたっぷりと水をあげたり、小さなカップを持ち何度も水道とプランターを往復して水をあげたりとお世話してくれています。また、小さな変化にも心をとめてその生長を喜んでいます。植物や生き物の生長にふれることの多い5月は、子どもたちの心も大きく動きます。私たち保育者(大人)もその傍らで、一緒に心を動かして共鳴しながら、生き生きとした瞬間を積み重ねていきたいと思っています。

園長 松尾 栄理香