2024.09.02

9月のたより

連日、熱中症警戒アラートが発令された2024年の夏。夏の保育でも戸外での活動を思うように楽しむことができず、「最高気温が毎年1~2度ほど上昇していく」と、昨年言われていたことを実感する日々でした。雨もなかなか降らず、毎日暑さが蓄積されているように感じる一方で、地域によっては局地的に豪雨となり警報が発令されることも多くありました。これからの地球はどうなっていくのでしょうか?

スズムシおじさんにいただいた鈴虫が「リーン」「リーン」と力強く美しい音色を園内に響き渡らせてくれています。残暑厳しき中にもスズムシの音色は幾分涼しさを運んでくれます。また、先日園庭で“つくつくぼうし”の鳴き声を聞き、夏の終わりを感じています。

今年はオリンピックが開催されました。開催地がフランスのパリということもあり、あまりリアルタイムで観ることができませんでしたが、この度も世界のトップアスリートたちが大活躍をしました。「かっこよかった」「きんメダルもらってた」「うれしくてないてるひとがいた」と子どもたちもその活躍ぶりに心を躍らせたようでした。新種目でもある“ブレイキン”は子どもたちの心を動かしたようで、床に転がりぐるぐる回って、選手になりきっている子どもたちの姿がとても印象的でした。オリンピックに臨む選手たちの姿は勇気を与えてくれます。試合終了後のインタビューでは、その一言ひとことに重みがあり心に響くお話でした。多くのアスリートに共通していたものは、『家族の方や指導者、そして周りの方々への感謝。』また、『計り知れないプレッシャーや挫折、怪我の克服を経て今があること。』『諦めずに挑戦しつづけたこと。そこには家族を始めたくさんの支えがあったこと。』などでした。光り輝く笑顔の裏には、多くの困難を乗り越えて今の姿があることに、改めてアスリートの偉大さを感じ、深い感動を覚えました。レジリエンス(困難を乗りこえて立ち直る力)が高い人の一つの特徴として、「自尊感情が養われている」ということがあるそうです。トップアスリートの方々のお話を聞いているとこの自尊感情が養われていることを感じました。アスリートの活躍を観るだけでなく、お話を聞くことも、私のオリンピックの楽しみの一つでもあります。

8月6日の8時15分にはサイレンが鳴り、広島の街は祈りにつつまれました。幼稚園でも子どもたちと一緒に黙祷しました。「おうちでおいのりをした」と話してくれた子どももいました。この夏に、原爆資料館や原爆ドームを訪れた子どもたちもいたようです。夏期保育では、毎年『平和』について分かち合いの時をもちます。79年前の出来事を子どもたちと話す中で、「どうして戦争になったのか?」「どうすればよかったのか?」と、子どもたちと一緒に考えていると「やさしく てをつなげはよかった」「ごめんねがいえたらよかった」「いっしょに ごはんをたべたらよかったのに…」と話してくれました。『一緒にご飯をたべる』という言葉に、イエスさまがお弟子さんたちや街の人々と食事をとられる姿が思い浮かび、「みんなと食卓を囲むところに平和がある」という永野チャプレンの言葉も思い出しました。また、平和って、「おうちにかえってきてくれること」と話してくれた子どもがいました。何気ない日常の中に『平和』がたくさんあることを子どもたちから教えてもらいました。

園長 松尾 栄理香