猛暑日が続き、連日のように熱中症警戒アラートが発令される2022年の夏でした。異常気象ともいえる気候は、各地に自然災害をもたらしました。被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
まだまだ残暑が厳しい日が続きそうですが、園庭であれほど大合唱していた蝉の鳴き声もパタリとしなくなり、「リーン」「リーン」と園内に広がるスズムシの音色に季節が巡っていることを感じています。夏期保育に久しぶりに登園した子どもたちが、「スズムシがおおきくなっとる!」「リーン リーンってないとる」と声高らかに話してくれました。夏休みに入る時には小さかったスズムシも、この夏の間に脱皮を繰り返して成虫になり、きれいな音色を聞かせてくれるようになりました。そんなスズムシの成長に心を寄せる子どもたちの姿を嬉しく思います。また、カブトムシも卵を産み、孵化して幼虫が生まれました。著しい成長に驚くと共に生きる力を感じています。スズムシもカブトムシもまもなく命の終わりの時が来ます。“ひと夏の命”を通して、自然界の営みや命のつながり、大切さを感じてもらえたらと思います。これからはトンボやバッタなど秋の虫たちが、また子どもたちの心を揺さぶってくれると思うとワクワクします。
つどいの時間、夏休みの経験や思い出を分かち合いました。もちろん、海や山へキャンプに行ったり、温泉に行ったり、ホテルに泊まったり、プールで遊んだりとおでかけした楽しい思い出を話してくれる姿もたくさんあり、一人ひとりの経験が重なり合って話題が広がっていきました。また、夏休みには忘れてはいけない『広島平和記念日(8月6日)』があります。子どもたちと“平和”について考える時、子どもたちそれぞれが感じていることを話してくれました。保育者が用意した“慰霊碑の前で手を合わせている人の写真”をみて、「ばくだんがおとされないように…」「もうせんそうがありませんように…」「せんそうでしんだひとが てんごくにいけますように…」「せかいじゅうのこどもたちが もうしにませんように…」とお祈りをしているのだと話してくれました。今から77年前、原爆が投下されてたくさんの命が奪われたことにふれ、「だいすきなひとがいなくなったらかなしい」「くらいきもちになる」「ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんがなくなってかなしかった」と話してくれました。一方で、たくさんの人が平和を願っているのに、戦争(ロシアとウクライナ)がなくならない現実に疑問を投げかける子どもの言葉に胸が痛みました。
園長 松尾 栄理香