今年は、例年になく日照時間が短く涼しい8月となりました。降り続く雨に不安を覚え、こんなに太陽の光を待ち望んだことはないのではないかと思うほど、不安定な天候が続きました。「今までに経験したことのない豪雨になる(なった)!」と繰り返される報道に対して、「地球温暖化により、これからは毎年このような天候となり、経験したことのない豪雨は当たり前になる」というコメントを聞いたときは耳を疑いました。私たちにできることは何かあるはずです。
コロナ禍の中、賛否両論で開催された東京オリンピック。子どもたちからはいろいろな声が聞こえてきました。「にっぽんがかったね!」「かっこよかった」「すいえいみた」「メダルもらっとった」「やきゅうすごかった きんメダルだった」「“サッカーがんばれ!”とおもった」など。いろいろなドラマがあり、悲喜こもごものオリンピックとなり、心に残るシーンもたくさんありました。その中で一つだけあげるとしたら、女子ソフトボールの上野選手の活躍です。『自分自身のオリンピックは13年前の北京での優勝で終わっていた。この度は、13年前の自分を観てソフトボールを始めた後輩のために、支えてくれた監督への恩返しのためのオリンピックだった。恩返しができて嬉しい。この機会を与えてくださった神さまに感謝しています。』という言葉は、とても心に響きました。13年前、ずっと追っていたものが達成したことや2012年(ロンドン)のオリンピック競技からソフトボールが除外されたことも重なり、モチベーションが上がらなくなる中で続けることの苦難。また、左顎を骨折するという大怪我もあり、いろいろな思いを経て、地元開催というプレッシャーと重圧の中迎えた東京オリンピックでした。葛藤と重圧を乗り越えて優勝した時の上野選手の表情はとても輝いていて、鳥肌が立つほどでした。チームメイトにどれだけ助けてもらいながら投球できるかという思いで試合に臨んでいた上野選手は、マウンドで孤独感を感じたことはないそうです。アスリートの言葉はそれぞれが心に響き、アスリートだからそのような表現ができるのか?いやその人間性だからこそアスリートになれるのでは…などと思いながら、自分自身を見つめなおす時間でもありました。
オリンピックが他の大会と違うところは、勝っても負けてもその試合が終わると、お互いが讃えあい、言葉を交わし、手をさしのべ、抱擁することだと言われています。この精神が世界の平和につながることを願っています。
パラリンピックが始まっています。さまざまな選手に心を震わされる日々です。
幼稚園も2学期が始まりました。子どもたちと一緒に移り行く秋を感じながら過ごしていきたいと思います。
園長 松尾 栄理香