新緑のまぶしい季節。5月の爽やかな風が若葉をゆすり、時にヒヨドリが遊びに来てくれています。木々の青々と茂っていく様子や、たくさんの虫たちが活発に活動を始める様子を見ると、生命の力強さを感じます。
現在もなお、新型コロナウイルス感染拡大の不安の中におりますが、一日も早くこの感染症が終息に向かい、子どもたちの日常が戻ってくることを祈り、子どもたち一人ひとりの笑顔を思いながら5月を迎えています。
4月のわずかな登園日。私が、プランターに咲いたちゅーりっぷやアネモネ、ビオラの花の手入れをしていました。そこへ、一人の男児が近づいてきて、「えんちょうせんせい なにしとるん?」と尋ねてきました。その時折れていたアネモネをハサミで切っていた私は、「アネモネのおはながおれていていたいよ~っていってるから、きっておみずにさしてあげようとおもってるんよ」と伝えました。「そうなん…」といいながら私の様子を見た後、一度、その場から離れた男児でしたが、しばらくしてまた戻ってきました。その時、花が咲き終わったビオラの花がらを摘んだり、茂りすぎて風通しが悪くなったビオラの手入れをしたりしていました。すると、「それもおれとるん?」と声をかけてくれました。「ううん。おはながかれちゃったので、かれたところをみられると はずかしいよ~っていってるからとってあげてるんよ。こっちは、いっぱいさきすぎて、きゅうくつになってくるしいよ~っていってるから、すこしとってあげとるんよ。」と答えると、私の顔をまじまじ見ながら、「えんちょうせんせい、おはなとおはなしができるんじゃ。」と不思議そうに、そして感心した様子で遊びに戻っていきました。お花に興味を示し心を寄せ、傍らにいた私にも関心をもち声をかけてくれたこの男児との交わりが、新型コロナウイスル感染拡大で感じていた心の疲れを癒してくれました。そして、何とも言いようのない幸福感を感じることができました。
このような時だからこそ、子どもたちのように柔軟な優しい心で周りを見て、傍らのものに心をよせ、心を動かす日々を積み重ねていきたいと思っております。
園長 松尾 栄理香