2025.11.01

11月のたより

数日前までは、冷房を入れていたと思うのですが、急に冷え込み晩秋を思わせるような気候となりました。今年は“過ごしやすい季節”を感じることがあまりなかったように思います。このまま秋が深まっていくのでしょうか?めぐる季節の不安定さを感じずにはいられません。

金木犀の香りにまだ出会っていないな~と思っていたら、ようやくその香りを感じることができました。幼稚園にも小さな金木犀の木があるので近づいてみると、花がついていました。『くんくん』と顔を近づけていると、数人の子どもがやってきて、「何をしているの?」と尋ねられたので金木犀のことを伝えると、「いいにおいだね~」といいながら何度も鼻を近づけていました。そんな子どもたちとの何気ない日常のやりとりにホッとしています。朝晩と日中の寒暖差に合わせるように、園庭の木々の葉が少しずつ色づき始めました。今年もどんな自然の贈り物が見られるのか楽しみです。登園時も、“秋”を見つけて小さな手のひらに握りしめて持ってきてくれる子どもたちが増えました。いつも『秋を運んでくれる子どもたちはどんな気持ちなのだろう…』と想像しています。各保育室には秋のコーナーが設けられ、どんぐりや松ぼっくり、木の実、木の葉などが並んでいまます。形や大きさを比べたり、時に数を数えたりしながら、自然を通して、形や大きさ、数の概念に親しんでいるようです。

今年も、数年前に園児が植えた柿が実りました。2年連続渋柿だったので今年もそうだろうと思います。ただ、色づく柿を見ながら食べられるのを今か今かと待っている子どもたちのことを思うと、食べさせてあげたいと思っています。渋抜きをする方法を調べたので、成功したらお伝えします。(余談ですが、子どもたちに「しぶい」ってどういうことかと聞かれました。改めて考えるとどう表現していいのか分からないことに気づきました。皆さんはどう表現するのでしょうか…)

豊かな自然のお恵みといろいろな行事が盛りだくさんで、子どもたちの心がこれまで以上にわくわくと動く11月。秋の深まりと共に、友だちとの交わりもぐ~んと深くなります。友だちと一緒にいろいろな行事を経験する子どもたちは、更に仲間意識が高まりイメージを共有しながら活動し、遊びが豊かになっていきます。そうなると、遊びが継続するようになり、「あした、つづきしようね」「あしたも○○してあそぼう」などと明日を楽しみに生活することが、また子どもたちの心を育んでくれます。一方、友だちとの交わりが深くなり、思いを伝え合う場面が多くなれば、これまでとは違ったトラブルや葛藤が生じることがあります。ただ、それもまた大切な経験です。幼児期の内にいろいろなトラブルに出会い、自分や友だちの気持ちに向き合いながら折り合いをつけていくことは、とても貴重なことだと感じています。心が柔軟なこの年齢だからこそ、素直に謝ることができたり、許したりすることができるのだと思うのです。そういった経験は、大きくなってトラブルに遭遇した時、問題解決をする糧となるのではないでしょうか。私たちは、そんな子どもの『心の育ち』に寄り添っていきたいと思っています。

園長 松尾 栄理香