心地よく吹く風や澄んだ空に秋の気配を感じる日が多くなりました。先日、風が吹いた瞬間「あきだから さむいね~(すずしい)」と思わず口にした子どもの言葉をきいて、季節の移り変わりを感じ取って表現する子どもの姿に愛おしさを感じました。また、戸外遊びの際、風に揺られてさらさらと音をたてているもみじの葉を観ながら、「はっぱがおはなししてるね」とつぶやく子どもの感性に心が洗われる思いでした。どんぐりや色とりどりの葉っぱを持って来てくれたり、空の雲を眺めていろいろな思いを巡らせたりと、秋は身近なところに自然の贈り物がたくさんあります。私たち大人も、そんな自然からの贈り物を五感を研ぎ澄ませて楽しみ、心震わせる豊かな毎日を過ごしたいものです。
満3歳児のままごと遊びにふれることがありました。キッチン台に立った一人の男児が洗いものをしていました。シンクで丁寧にフライ返しを洗った後、クロスで丁寧に拭く姿からお母さんを思いました。またある時は、「おりょうりする」と言ってキッチン台に立ち、「おしお」「こしょう」と言いながら手際よくそれぞれふりかけてお料理をする姿に深く感心しました。一つ一つの所作がとても丁寧で、またお家の方をよく見ていることも伝わってきて、そこに愛情と親子の信頼関係を感じました。
子どもたちのごっこ遊びは、このままごとから始まります。ままごとは“飯事”と記され、その起源は、平安時代にまでさかのぼると言われています。ままごとは食事や生活など、日常の様子を模倣する遊びです。「まねをする」という楽しみと自分なりにイメージしたことを表現する喜びが、幼児期には欠かせない『ままごと遊び』となっています。ままごと遊びが“おうちごっこ”になり、“ようちえんごっこ”や“のりものごっこ”、“おみせやさんごっこ”など友だちと役割分担をして、イメージを共有しながら豊かな遊びに広がっていきます。最近では、お店のポイントカードやクレジットカード、キャッシュレスペイなど、時代と共にごっこ遊びの様子も変わってきていることを感じています。ごっこ遊びでは、観察力・記憶力・表現力・創造力・想像力が育まれ、社会性も養われると言われています。これからの季節は気候もよく、いろいろなイベントも催されたり、お出かけの機会も多くなったりして、ごっこ遊びもますます盛んになることでしょう。
園長 松尾栄理香