2023.10.01

10月のたより

ようやく秋の涼しさを感じられる頃でしょうか?空気が乾き、空を見あげると澄んだ青空に白い雲がよく映えるようになりました。今年は、9月に入ってからも残暑が厳しく、真夏日が何度もありました。しかし、『暑い!暑い!』と言いならも、気づけばもう秋です。日が落ちるのも随分早くなりましたし、秋の味覚が食卓に上るようにもなりました。「旬のものは栄養価が高く、旬のものを食べると風邪もひきにくくなるし、健康に過ごせる」と料理人の方から伺ったことがあります。秋は行事も多く、心も体も友だち関係もぐんと大きく成長する時期です。旬の食材が豊富な秋に、よく食べ、よく遊び、心身ともに健康な身体作りをしたいものですね。

運動会を通して友だちと一緒に『体を動かす喜び』『表現する喜び』を味わった子どもたちは、ますます仲間意識が高くなってきます。これまで以上に、ごっこ遊びも盛んになってくることでしょう。室内での主体的な活動の一つに “ごっこ遊び”があります。先日も年長組や年中組のお部屋では“おばけやしき”や“おむすびやさん”が賑わいをみせ、「えんちょうせんせい、おばけやしきにきて!」「おむすびやさんやってます!」と呼びにきてくれました。ワクワクしながらお部屋に行ってみると、そこには想像以上の接待やディスプレイが…。驚いたり、感心したりの連続です。ごっこ遊びは生活の模倣であったり、体験したことの再現であったりと、子どもたちのあふれ出るアイディアから発展していきます。おばけやしきでは、出口を出ると「このなかから一つえらんでください!」と、デザートをいただきました。『こんなサービスまであるんだ』と蓋を開けると、なんとそれはびっくり箱でした。また、おむすびやさんでは、ペイペイカードを作ってくれてポイントまでつけてくれました。ごっこ遊びを楽しんでいる子どもたちの表情はとても生き生きとしています。招かれた別のクラスの子どもたちも存分に楽しんでいます。ながーい行列ができてもずっと待っている子どもたちを見ると、何とも愛おしく感じます。いろいろな役割があって成立するごっこ遊びの中には、自分の気持ちを伝えながら、友だちの思いにも耳を傾け、時にうまくいかないことがあっても、折り合いをつけ共通のイメージをもって、共に遊びを進めていく子どもたちの姿があります。ハーバード大学の研究で、『幼少期に、経験豊かなごっこ遊びをした子どもは、自分の主張をしながらも、他者の主張を聞き取り妥協点を見出すことができ、将来、社会に貢献できる』と発表があったそうです。子どもたちのごっこ遊びをみていると、初めからスムーズに進んでいるわけではありません。見切り発車していまい、開店準備ができていないまま、お客さんの大行列が…なんてことも多々あります。また進めているうちに足りないものに気づいたり、途中で遊びから抜け出して人手不足になったりと、困惑する場面もあります。それでも、子どもたちは何とか続けられるように工夫していきます。大人への憧れが強い子どもたちにとって、ごっこ遊びは、“観察力”“柔軟な発想”“工夫する力”“物作り”“仲間との共同作業”と学びにつながっているようです。子どもたちは、本当によく観ていますし、その表現力は豊かでおもしろいです!!

園長 松尾 栄理香