2021.05.01

5がつのたより

 園庭のもみじが日を追うごとに青々と茂り、その生長の勢いは子どもたちの成長を見ているようです。2年前の園舎改築の際に、幾つかの苗木を植樹しました。どの木々も今では幹を太らせ、枝を張っており嬉しくなります。その際にプランターで栽培していた樹木(びわ・レモン・かき・すももなど)も一緒に植樹してもらいました。プランター栽培ではゆっくりだった生長も、整えられた大地に植えるとこんなにも違うのかと思うほどぐんぐんと生長しています。そんな植物の生長を観ながら、『子ども(Kinder)は、誠実な庭師(保育者)によって育まれる庭(Garten)の花々のように成長すべきだ』と考えた、世界で初めて幼稚園を作ったフレーベルのことを思っています。
 新年度が始まって一ヶ月が経とうとしています。初めての集団生活、初めてのクラス替え、初めての幼稚園…。初めてがたくさんあった4月でしたが、子どもたちは日々の繰り返しの中で好きなことを見つけ、自分の居場所を見つけつつあるようです。ただただ、自分の好きなことをして遊ぶ3歳児。初めてのクラス替えに戸惑いながらも新しいおもちゃや先生、友だちと遊ぶ4歳児。友だちと遊ぶ楽しさを感じながら活動する5歳児。それぞれの年齢に応じた姿が見られます。進級児は一つ大きくなったことの喜びを感じながらも、また不安もあると思います。自分も不安でたまらないけれど、自分も泣きたいけれど、小さいクラスのお友だちが泣いていると、ぐっと我慢してしまった場面もあるかもしれません。そんな子どもたちの気持ちにも寄り添いながら、子どもたちの成長を見守っていきたいと思っています。
 戸外では、小さな虫たちが活発に活動をしています。クローバーの茂みに入ったり、プランターを動かしたりしながら生き生きとした表情で虫探しに没頭する子どもたちを見ると嬉しくなります。いつの時も子どもたちの心を魅了する“だんごむし”は、子どもたちの緊張や寂しさを解きほぐしてくれます。その小さな命に、これまで何人の子どもたちが支えられたことでしょう。“だんごむし”さんありがとう!!です。また、先日「えんちょうせんせい、かたつむりみつけたよ~!!」と目を輝かせて呼びに来てくれた子どもがいました。行ってみると、5ミリほどの小さなカタツムリに出会いました。子どもたちは宝物でも見つけた勢いです。これからも、子どもたちは自然と触れ合っていく中で、小さな命を感じて、励まされたり喜びを感じたりすることでしょう。子どもたちの心が動く傍らで共に過ごせることに感謝して、共に心をふるわせる日々を積み重ねたいと思います。

園長 松尾 栄理香